P.W.シンガーとマイブームとしての戦争

ブログ再開というか、止めてたわけでもないのだけど、今年に入ってからの読書の記録を、自分の仕事のスタンスとの比較などを交えて遡っているところ。
昨日は今現在はまっているマイケル・ルイスについて書いたけど、今日は今年前半にはまっていたP.W.シンガーについて。

戦争請負会社

戦争請負会社

子ども兵の戦争

子ども兵の戦争

ロボット兵士の戦争

ロボット兵士の戦争

民間軍事会社の存在を世間に示した「戦争請負会社」、映画『ハートロッカー』の冒頭に登場したiロボット社の爆弾処理ロボットに代表されるような、無人兵器を紹介し、軍需産業にロボットを始めとしたハイテク企業が大きなウェイトを占めつつある現状を描いた「ロボット兵士の戦争」らの著者。
この人の職業は、安全保障を研究するシンクタンクの研究員。元々は国際政治学を専攻し、そこからジャーナリスト的なことをしながら今の職という感じのようだ。
 
この人の場合、戦争を扱う理由は明確。まあいわゆるミリオタ。それはあまり隠さない。戦争が人を夢中にさせる理由として「戦争が人間ならではの最も強い感情を引き出すからだ。勇気、名誉、愛、リーダーシップ〜<以下略>が戦火の中で明確に表れてくる」と指摘するように、戦争には人が大好きな要素がそろっているのだ。
大勢が戦争反対を唱えても、なくなった試しはない。
 
この著者は戦争ワンテーマの書き手とはいえ、毎度ユニークな切り口の企画をもってきて、さらにわかりやすい本を書くのが特徴。学者ではない、むしろジャーナリスト寄りの立ち位置、企画のおもしろさ。この辺は、同じ書き手として参考になる。
 
さてと、ちょっと話は変わる。自分の話。今年はミリタリー関連の話題に沸いた年だった。エジプトのクーデター、リビアフランス軍の交戦東日本大震災での自衛隊の活躍、米の友だち作戦、ビン・ラディンカダフィ大佐の暗殺(前者は米海軍特殊部隊の作戦による)etc…。
 
実は今年になってから、かなりの数の戦争関連本を読み始めている。マーチン・ファン・クレフェルトとかそういうやつ。さらに、この3月辺りから、僕は約20年ぶりくらいで『コンバットマガジン』を定期購読するようになった。普段であればトイガンなど、ホビー中心のこの雑誌が、今年はこうした事件の連発に熱を帯び、実社会の出来事を捉える雑誌として、大人でも読める内容に変貌していった(元々そういう記事もあったのだが)。
COMBAT (コンバット) マガジン 2011年 06月号 [雑誌]

COMBAT (コンバット) マガジン 2011年 06月号 [雑誌]

また、ファッション界のミリタリーブームもあり、夏の間ずっと放出品特集を組んでいた辺りにも、かつてのPOPEYEをほうふつさせるおもしろさがあった。
『コンバットマガジン』今年になって始まった書評連載もおもしろかった。しかし、今月から普通のホビー雑誌に戻った(書評連載も終わった)感があり、残念。
 
「軍事研究」のような専門誌ではなく、ポピュラーサイエンスみたいなのりのポピュラーミリタリー雑誌があればいいのにと思う。ホビー職が薄く、軍事関連の経済やテクノロジーの話題中心の誌面の雑誌が。

今年の自分のミリタリー熱もあり、来年は、戦争関連のテーマを研究題材にしたいと思っている。直球じゃないうまいテーマを模索中。
 
僕は自分のライターとしての仕事とは、「メディア」「テクノロジー」「経済」の3つを掘り下げ、「20世紀史」「歴史」を加えて調理するという形をとる。テーマ自体はなんでもいいが、手つきはそんな感じ。
これまでのテーマというと、CM音楽、自己啓発文化、ケータイ小説、ショッピングモール、ラーメンである。次とその次くらいは企画が決まっているのだが、どこかで戦争関連の関連企画をやってみたい。