2013年12月2週目の手記
本日、発売! 『ユリイカ』のB級グルメ特集に書いた、食のポリティカルコンパスの話を発展させた内容です。中身は食から考える超ポピュラーな政治思想史。
『ラーメンと愛国』は、大まじめななりをしたジョークでしたが、こちらは冗談っぽいアプローチながら、かなり真正面なんじゃないかと。
- 作者: 速水健朗
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/12/13
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (36件) を見る
序章 「食の分断」から見えるもの
- 食で団結する日本人
- 二極分化する日本人の食
- 食の分断はいろいろなところで起こっている
- 食で思想をマッピングしろう
第1章 政治と切り離せない食
- ビーガンとマクロビアンたちの祭典
- ベジフェスにいるのはどんな人々なのか
- ミート・フリー・マンデー運動
- 肉は穀物の8倍効率が悪い
- 有機農法とF1種、在来種といった考え方
- 緑の革命と遺伝子組み換え作物
- 自然食の中でも人気のあるマクロビオティック
- 土日開催の青山ファーマーズマーケット
- 自然志向とローフーディズム ・「ナチュラル・ハイジーン」という信仰
- 消費と政治の関係性
- 政治運動で政府を動かすのは時代遅れ
- 高級ホテルの「鮮魚のムニエル」偽装問題
- 産地食材表示の透明性と新自由主義の流れ
- 「買うこと」が意味することの変化
- アメリカにおける都市リベラル層と消費の関係
- リベラル層の生活と保守層の生活
- フード左翼、フード右翼、フード極右
- アルチザンと工業製品としての食
第2章 フード左翼とは誰のことか
- どう食べるかは政治的なこと
- アリスのレストランはなぜ政治的なのか
- アメリカにおける政治分断
- 『イージー・ライダー』が撃ち殺されるわけ
- 保守によるリベラルへの苛立ち
- ヒッピー文化から資本主義的な商品へ
- 反体制、対抗文化から始まった企業
- 多様化する左派意識と新しい社会運動
- フード左翼とは誰のことか
- 新しい左派運動としてのスローフード
食を通じ国境を超えた連帯
第3章 政治の季節から食の季節へ
- 八郷の有機栽培地帯
- 農業を通した1960年代の革命の二回転
- 「たまごの会」のやさと農場
- 高度成長期の終わりと反省の季節
- 「契約派」と「農業派」の分裂
- 「たまごの会」と『1Q84』
- 戦前の右翼事件とたまごの会の共通点
- 農本主義2・0
- フード左翼の階層問題
- オリーブ少女に結実する左翼闘争
第4章 魔術化するフード左翼と民主化するフード右翼
- 青山オーガニック通り
- OL向けコンビニ健康弁当はなぜ成立しないのか
- 都市生活者と結びつくエコライフ
- 都市に住むのと自然の中で暮らすのと、どっちがエコ?
- 都市生活者の価値観は「新しい意識」の芽生えか?
- 「フード右翼」が実現する「食の生活」
- 80年代的なおしゃれ都市文化人と「フード左翼」
- 『うかたま』『veggy』などのオーガニック系雑誌
- フード極左化するカヒミ・カリィと元オリーブ少女
- 『マーマーマガジン』の政治性
- 「キッチンの再魔術化」の時代
- 都市コミュニティと都市型政党
第5章 フード左翼のジレンマ
- われわれは99パーセント
- ウォール街デモの兵站術
- ウォール街占拠を支持した人々
- サステナブルでない有機農法
- 有機農業は何が問題なのか
- 有機農業を否定しないための選択
- 反遺伝子組み換え作物と「フード左翼」
- 遺伝子組み換え食品は危険か
- 「恐怖」の商品価値と「動員のゲーム」
- 「フード左翼」が遺伝子組み換えを否定する2つの理由
- オープンソース、「伽藍とバザール」
- よりよい社会の転換期
補章 高齢者の未来食と共産主義キッチン
- 人生のラスト1マイルの食
- マクロビアン、ジロリアンの30年後
- フードシステム展示会に見る食の消費の未来
- 高齢者施設の現状とそこでの食の近未来
- 親vs.学校、給食をめぐるイデオロギー対立
- 未来の食は高齢者の食
- 新しい「セントラルキッチン方式」の時代
- これから訪れる再セントラルキッチン化の時代
- 20世紀初頭に登場したセントラルキッチン
- 夢のキッチンを中心とした集合住宅
- スターリンが描いた帝国の夢
- 高齢者向けの宅配フードサービス
- 「共産主義キッチン」が再来する未来
終章 食から政治意識を読み解くということ
- 「フード左翼」を再度定義する
- 「フード右翼」の論理
- 「フード左翼」から「フード右翼」へ転向することはあり得ない
- 生活の延長線上の政治思想