ナイトクラブの時代は更けて
『赤坂ナイトクラブの光と影―「ニューラテンクォーター」物語』を読んだ。
力道山が刺されたことでも有名な赤坂の最高級のナイトクラブ“ニューラテンクォーター”の話。
『東京アンダーグラウンド(ISBN:404247103X)』は戦後の六本木の『ニコラス』というピザ屋に出入りする人脈から見えてくる闇の世界の話だったけど、それが発想の元になって企画された本。
開店が1959年。フランク永井と松尾和子の「東京ナイトクラブ」が流行った年。このニューラテンクォーターはホテル・ニュージャパン*1の敷地内に有り、1982年の火災がきっかけで客が減り、バブルとともに客層が変わりサービスの低下を招き1989年に閉店する。
この本のサイドストーリーとして“外タレとショービズの歴史”という部分も語られる。
ナイトクラブはキャバレーと違いショーが売り。ニューラテンクォーターもナット・キング・コールら大物ミュージシャンを呼んでいて、外国人アーティストのブッキング部門がのちに“キョードー東京”になっていく。
ビートルズを呼んだキョードー東京は、会場としてロックとしては初めて武道館を使用する。これ以降、大きな会場に海外のアーティストを呼ぶビジネスが定着し、キョードーはナイトクラブの呼び屋から手を引いていく。
一方ナイトクラブでは、大物歌手を呼んでも客が入らない時代になっていく。大物というだけで興味を引くことがなくなったのだ。これには“ディスコ”も少しだけ関係している。85年、ラテンクォーターにドナ・サマーが出演。これは盛り上がらなかった例として語られていた。ちなみにダイアナ・ロスは「ナイトクラブでは唄わない」と拒否したらしい。
音楽の受容のされ方の変化とともにナイトクラブは廃れていった。
ちなみに呼び屋の形態は最近でも変わってきていると思う。ロックフェス的なものが増加、あと東京ドーム公演の数も減っているのではないか。
キョードー東京はとくにロックフェスに乗り遅れてるのか?
p.s.最も頻繁に通った常連の1人として勝新が大々的にフィーチャーされていて、勝新好きには見逃せないエピソードも多数といった感じ。
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