『アトミック・カフェ』鑑賞

gotanda62004-10-29

ようやく観に行ってきました『アトミック・カフェ』(渋谷ユーロスペースでのレイトショー(11月12日まで)。
放射能なんて恐くないさ! 例え原爆が落ちてもしゃがんで頭を抱えればぜんぜん大丈夫! っていう映画。
当時(50年代前半)はいまより核戦争に対する現実味があって(まあ、状況はあんまり好転してないのに危機感は薄い)、しかも原子力に対する知識が欠落している(政府のプロバガンダのおかげ)。その辺をおちょくった映画なんだけど、ナレーションや撮り下ろしなしで、当時の広報フィルムと音楽だけで構成している。
50年位のシェルター付きハウスのCMとかミッドセンチュリー好きにはたまらない映像盛りだくさんでおもしろいんだけど、とにかく音楽がよかった。1940年代〜1950年代のポップスが使われているんだけど、すべて核がらみの歌。『アトミック・ラブ』Little Caesar with the Red Callender Sextette、『原爆ベイビー(原題:Atom Bomb Baby)』The Five Starsみたいな。パンフの解説にはこんな歌詞も紹介されてます。
放射能ママ、今夜は2人で臨界点に達しよう」
映画公開時(1982年)にはサントラ盤も発売されたみたいだけど、版権の問題か何かでずっと廃盤になっているみたい。一応アマゾンにも登録はあるのでサントラが豊富な輸入盤屋を探せばCDがあるかも(amazonでは品切れ)。

Atomic Cafe

Atomic Cafe

一応、音楽の一部は『アトミック・カフェ』公式サイトで聞けます。あと、これもパンフからの情報ですが、“核”についての歌を図書館の音楽著作権ファイルからピックアップして、そのリストを全米のレコード・コレクターに送りつけて古い音源を集めたとのこと。その頃のポップミュージックの音源って、そうは残ってないんだろうね。1940年代ポピュラー音楽の世界(暗黒大陸)にはまってみようかと思うんだけど、どっから手をつけていいのやら……。
あと、パンフはカユイところに手が届くというか、よくできています。広報フィルムを貸してくれた軍は、まさかこのような使われ方をすると思っていなかったらしく、以後気軽にフィルムを貸してくれるということはなくなったとか、公開後左翼陣営から「深刻なテーマを矮小化している」とか「原爆をジョークのネタにするのは冒涜」などとクレームを受けただとか。映画見た人は一緒に買った方がいいです。500円だし。


あと、蛇足ながら50年代鉄腕アトム第五福竜丸ゴジラとの関わりなどから、50年代の核、放射能への認識は今とは全然ちがったということを少し前に書いてるんで参考まで(id:gotanda6:20040817#atom)。
「核」論―鉄腕アトムと原発事故のあいだ