第5話『動機ある者たち INDUCTANCE』(脚本:佐藤大)

九州、出島の移民キャンプ視察中の首相が受け取った花束より脅迫状が見つかる。そこに描かれたマークは過去の脅迫事件にも使用されていたが、思想、背景などに共通点が見出せていなかった。9課に首相警護の任がくだされるが、事件捜査への介入はなぜか牽制を受ける。前回登場済みの内閣調査部の男も裏で事件の捜査に参入している。
脅迫状に描かれたマークの調べにかかったトグサ、石川は『個別の十一人』というキーワードに辿り付く。これは幻の革命評論集で、ネットマニアの個別主義者の聖典と呼ばれているものらしい。『個別の十一人』は1話目のテロ事件の犯人が名乗った名前であり、陸自のヘリ暴走事件でも出てきたキーワード。
『個別の十一人』の中身を調べる石川。すると、5・15事件とその後、5・15の青年将校たちが英雄視され、日本国民の右傾化にいたる経緯などがでてくる。そして、彼らの減刑嘆願の意味をこめて送られてきた11本の切断された指のエピソードに辿り付く。同じ頃、首相の元にも11本の指が送りつけられた。
舞台は禅寺。座禅を組む首相の前に、日本刀を持ったテロリストが登場。素子、バトーが銃で応戦するも、強化サイボーグの日本刀男は全弾受けながら逃走・・・。


なぜ禅? というのはともかく、ネットマニアの聖典となっている左翼系論文などに関しては攻殻機動隊SACの最終話でジガ・ヴェルトフのセリフを引用している佐藤大、5・15という戦前の事件史は神山監督の領域なのだろう(SACシリーズの脚本に押井守は口を出さないらしいので)。難民問題、スタンドアローンなテロリストたち、陸自、内閣調査室とアイテムが増えて複雑だけど、おもしろくなってきた。