『座頭市千両首』(監督:池広一夫  脚本:浅井昭三郎、太田昭和 ASIN:B0000AN18S)を鑑賞。

舞台は高橋涼介率いるレッドサンズの地元、名月赤城山麓。事件は、百姓の収めた上納金の千両箱が曲者に強奪されるところから始まる。これを仕組んだのは、上納金の二重取りを目論んだ悪代官。実行したのは、その手下の腕利きの浪人たち(そのボスは若山富三郎)。しかし、強奪犯の疑いは赤城山に住む国定忠治にかかる。偶然現場近くにいた市も事件に巻き込まれていく・・・。

まずは、タイトルバック。スポットライトの中での立ち回りをバックにクレジットが現われる。想像だが、時代的にも(1964年)007シリーズを意識しているのかも。カッコイイ。
収録されていた予告編では、「市さん行かないで、つまらない殺し合いなんかしてどうしようっての」と止める坪内ミキ子に対し「できることならあっしも逃げてぇ、だけどあいつら盲のあっしを逃がしてくれねえ」。と応えるシーンがある。これは悪代官を退治した後、腕利きの浪人との対決に向かう前のシーンなのだが、実際の本編では、違うやり取りになっている。
本編のやり取りはこう。「待って市さん、一緒に(村に)行って八木節の太鼓を叩いて皆の喜ぶ顔を観てから行ったら」という制止に対し、市は「喜ぶ顔を観る・・・盲のあっしにそいつは無理だ。お千代さん、八木節が始まる自分にはきっとけえってくる」と応えている。説明を避け、うまい台詞。脚本の妙。
八木節は唐突に出てきたわけではなく、序盤で村人たちが祭りで八木節を踊り、市が混じって太鼓を叩くシーンがある。詳しくは無いが、上州、国定忠治、八木節というのはご当地を表わす名物なのだろう。そして、ラストは浪人との対決。もうこの展開は完全に西部劇。だって相手は馬に乗り、投げ縄を使ってくるんだもん。そして、決着がついたところで、八木節の音色がピーヒャラ聞こえてきて“完”の文字。カッコよすぎ! エンターテイメントに徹した作品としてよくできている。
そういえば、勝新は自ら座頭市を監督した際、エンディングに「ホテル・カリフォルニア」を使おうとしたらしいという話は本当なのだろうか?