前略、井上ざもすき様

id:xamos-chi
はじめまして。ゼロアカ第三関門の自著要約のなかで、自著『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』を取り上げていただきありがとうございました。
これも何かの縁なのだと思われ、当方非力ではありますが、何かしら応援できればと考えています(『恋空』の美嘉を紹介してくれと言われてもそれはできないけど)。

観光というテーマおもしろいです。上京もしなければ、電車にも乗らないヤンキー*1とはいえ、観光はしています。
ヤンキー的観光事例としては、山間の廃ホテルやロードサイドのつぶれたパチンコ店などを、友だち同士でドライブがてら訪れるという、心霊スポットツアーがあります。
この心霊スポットツアーは、宮部みゆき模倣犯1 (新潮文庫)』や平野啓一郎決壊 上巻』などの中でも取り上げられています。

地方の心霊スポットが何かというと、見捨て去られた高度成長期の残骸でしょう。全国津々浦々の郊外に腐るほど放置されています。
工場萌え、団地萌えが高度成長初期の光景を美化して再解釈しようという流れで「昭和三十年主義」的に盛り上がっているように、ヤンキー的心霊スポットツアーにも、同様の現代的なツーリズムの有り様を見出すことができるかもしれません。

また、観光という観点から、ぜひ近年の鉄道ブームもぜひ考察していただきたいです。鉄道オタクがなぜ古くから存在したかについては、『不可能性の時代 (岩波新書)』にも取り上げられていましたが、それが現代に復活し、盛り上がっている理由が何かありそうです。

近代ツーリズムとは、産業革命、鉄道の登場などと密接に結びついていますが、近代観光の父と呼ばれるトマス・クックは、聖地巡礼の手配から発展させて、団体旅行のビジネスを発明していますよね。その辺は興味深いです(当然彼はプロテスタントなのですが、なぜ聖地巡礼をビジネスにしたんだろう。少し不思議な感じがする)。トマス・クックは、聖地巡礼パックツアーの生みの親であり、同時に最初の乗り鉄だったのかもしれません。

さらに、観光としての“自分探しの旅”という視点もあるのかな。「外こもり」「観光しないツーリスト」「内面を発見する旅行」……。

この辺、完全に無駄話です。何はともあれ、がんばってください。

*1:僕が「ケータイ小説的」で規定した「ヤンキー」とは、地元意識が強く、上京願望を持たない若者のこと