『「若者論」を疑え!』読んだ

「若者論」を疑え! (宝島社新書 265)

「若者論」を疑え! (宝島社新書 265)

俗流若者論」でおなじみの著者の新刊。「『若者はダメになった』は大嘘です。」という帯や書名に違わず、精神論や印象論でいまどきの若者をモンスター扱いする若者論をばっさり。少年犯罪やゲーム有害論などを、統計やデータを分析し、若者論の根拠の無さを指摘している。
とはいえ、本書の致命的な欠陥は、これらの正当性とは別に、おもしろくないのだ。逆に、世にはびこる低俗な俗流若者論の方がおもしろいというジレンマ。
 
ブログの俗流若者論批判がおもしろかったのは、毒気があったから。例えば、ブログでは行われている特定人物攻撃が本書にはない。それをいい方向に評価することも可能だけど、僕はもっと下世話におもしろさを求めた方が誠実なんじゃないかと思う。そう思ったのは、第4章以降に見られるある方面への政治的配慮が鼻についたから。本書の目的が、若者論批判よりも、若者論批判利権へのすり寄りなんじゃないかっていうのは意地が悪すぎるかな。