マルチ、宗教、ロックンロール

松永さんの回顧録おもしろい。自己啓発セミナーに関わっていた頃の話のところ。

アッパー系の技法で短期間に成果を上げようとするところに無理があるとか、いろいろと批判もあるようだが、使える考え方も多く含まれていることは確かだし、一時的にしろ人の行動を変える力があることも間違いない。セミナーだからといって闇雲に批判したりするのは、かえってその本質を見失うことだろう。
オウム・アレフ(アーレフ)の物語●PART 3-6●ライフダイナミックス

「闇雲に批判」する側の人間の理も述べておこう。

ライフダイナミクスを日本に広める役割を果したのは、ライフダイナミクス日本法人の親会社“アーク・インターナショナル”の会長島津幸一という人物。
彼は2ちゃんねる用語ではなく本当の香具師だった。『カルト資本主義 (文春文庫)』という本の中ではこう描写されている。

六〇年代後半に香具師テキヤ)商法をアレンジした催眠商法の会社「新製品普及会」(いやゆる“SF商法”)を経営して大儲けし、七〇年代にはアメリカから上陸したマルチ商法APOジャパン」のセールスマン教育を一手に引き受けた。“マルチの教祖”として、かの世界では誰一人知らぬものがいない。

さらに、ライフダイナミクス本体にも触れておく。創始者のロバート・ホワイトは元々ホリデイ・マジック社というマルチ商法会社の教育係から学んだノウハウを持ってライフダイナミクスを設立した。
ホリデイ・マジック社は1971年に米連邦取引委員会に告発され、被害者への1億6000万ドルの賠償請求を命じられ消滅。以後、マルチ商法は法によって取り締まられる方向に向かった。

自己啓発マルチ商法はワンセットで日本に入ってきた。アメリカで食い扶持を失ったホワイトが法律の甘い日本に持ってきたことから生まれたのが日本のライフダイナミクス

そんな感じ。マルチ商法の良し悪しについてはとくに触れませんが、しがないライターの僕が飯を食ってローンまで支払っていけているのは、皆さんがクイーンクック20p鍋セット(鍋デモレシピ付き)を気に入っていただけているからなわけですが……。次回のホームパーティの日取りが決まったらまた当欄にてお知らせします。