非走り屋のための『頭文字D』のすすめ

頭文字D 伝説誕生編 (プラチナコミックス)
昨日に引き続き『頭文字D』の話。
イニDの基本プロットは“無自覚な主人公が状況巻き込まれながら走り屋の血に目覚め成長していく”というもの。
ひょんなきっかけで峠のバトルを行なわなくてはならない状況に陥った主人公の拓海は、家業の豆腐配達で中学時代から養われたドライビング技術で有名な走り屋に勝利を収める……。
これってモチーフは走り屋だけどロボットアニメの第1話の基本パターンをなぞってる。もうひとつ、拓海が乗り込む『AE86』は、元走り屋の拓海の父親が改造したマシンである。ロボットアニメでも父親が博士でロボットの生みの親ってのは定番。二話目以降、ロボットの操縦者が「なぜ自分はロボットで戦わなくてはならないのか」というアイデンティティの問題に突き当たるのと同様に、拓海も“なぜ自分は走るのか”と自問しながら走り屋バトルにのめりこんでいく。
スーパーロボット画報―巨大ロボットアニメ三十五年の歩み (B media books special)
そしてライバルも登場する。イニDでは高橋涼介という理論派でテクニックもルックスも一流、哲学めいた台詞も吐くキャラクターが拓海の壁として登場する。高橋涼介のニックネームは“赤城の白い彗星”。キャラの設定からも明らかなように“赤い彗星”ことシャア・アズナブルを意識して生まれたキャラであることは間違いない。深読みの領域に踏み込んでみると、スカイラインR32GT-Rはさしずめスカート付き(ドム)といったところ。
頭文字Dはロボットヒーローアニメ、特にガンダムのプロットをなぞって作られている走り屋マンガというわけ。クルマに興味がなくても結構楽しめるよ。