万国博覧会の歴史と、燦然と輝く(とも思えない)シャチホコの未来
今年は地味に万博イヤー。世の中には万博マニアって意外に多い。僕は大阪`70の頃は生まれてないし、筑波`85にも連れていってはもらえなかった。だから下は、万博バージンの思い入れもろくに無いやつがEXPOについて書いたものとして大目に見てやってください。
簡単に万博の歴史をたどると、産業革命の18世紀半ばにまで遡ることができる。英や仏の王侯貴族らの没落が始まり、そこに代わる消費者として一般市民に白羽の矢が立つ。その市民に余剰在庫を売りつける仕組み、つまり大規模なバザールとしての万博が開かれる(世界初の万博は手元の資料によると1851年のロンドン万博=正式には万国工業産品大博覧会 The Great Exhiition of the Works of Industry of All Nations とのこと)。当時の産業立国を旗印とした国家による「産業」のPRに過ぎない。これが万博の始まり。いわゆるなんでも手に入る複合型マーケットの始まりであり、のちのデパートの誕生へとつながっていく。
19世紀後半には、万博は次の段階に進みテーマは産業から商業へと移行、いかに商品を良く見せるかという部分に主眼が移る。そこにはもうひとつ“エンターテイメント”という概念が登場する。19世紀後半の主要なエンターテイメントは“観光”だった。この頃の万博には世界各国のブースができ、小さな世界旅行が楽しめる場としての万博がスタート。万博自体が箱庭的に世界を展望する“パノラマ”化する。『日本の遊園地 (講談社現代新書)』という本によれば、遊園地の起源は1873年のウィーンの万博らしい。余談ではあるが、このウィーン万博には日本からシャチホコが出展されたそうだ。
そして19世紀の万博が提示したように20世紀はエンターテイメントの世紀となった。
これらはざっくりした万博観に過ぎず、アートや建築という視点で見るとまた別の見え方で映るかもしれない。ただ、そもそも万博が消費の祭典であったことは事実だ。そして、万博が客寄せに利用してきたイメージは常に“未来”だった。大阪万博は“宇宙”、筑波万博は“情報技術”とそれぞれに21世紀の消費生活を提示していたように思う。
NHK人間講座『パリ・奇想の20世紀』で荒俣宏は「“みらい”という言葉は19世紀に発明された」というようなことをいっている。万博が下火になるのを筑波万博(1985年)くらいからと過程すると、それは“みらい”が失われた頃とマッチするかもしれない。なにせ80年代前半は“ネガティブな要素を孕んだ未来”が大流行している。ちょっと思いつくものを挙げてみる。
- 『AKIRA』(1982年連載開始)
- 『風の谷のナウシカ』(1984年に映画公開)
- 『ターミネーター』(1984年製作)
- 『マッドマックス2』(1981年製作)
- 『北斗の拳』(1983年連載開始)
- 『ブレードランナー』(1982年製作)
さて、今年は愛知万博が開催される。愛知万博が提示する未来の消費生活像とは何でしょう?
愛・地球博:愛知万博公式サイト
愛を消費して地球を消費する? 答えは80日後!
【参考文献】
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- 作者: 橋爪紳也
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