[社会]チェーンメールその後。しない善より、する偽善?

先日のエントリで取り上げた“小千谷の声”チェーンメール*1が収束したのかと思っていたら、いまだ納まっていないようだ。まずは、おさらいから。
まずチェーンメールの元はここ。
『新潟震災ボランティア日記*わたしにできる何かを見つけよう!』
このブログは、震災直後から震源地の小千谷で支援活動をしていた“なおちゃん=情報ソース”の電話での報告を、沖縄在住の“カメハハ=発信者”なる管理人がアップするという仕組みをとっている。それがまず混乱の一因だった。このブログの10月29日の“小千谷の声”というエントリがチェーンメールの大元だ。ここから一部を引用。

マスコミはたよりになりません。マスコミへは、支援活動の妨げとなり、被災者の心労を倍増させる今の取材のやり方についての、抗議の声をあげてください。あまりにひどい状況です。

この後に、政治家の批判があり(後述)、支援物資を求めるという内容のエントリだった(今はアクセス不可)。
おりしも震災の報道を巡りネットを中心にマスコミ批判が盛り上がっていたこともあり、この情報は個人のブログを通し広まっていく。このチェーンメールに気付いた笹山登生ブログ*2などが、出元を探すなど、事態の収拾に立ち上がる。この働きかけにより、大元(上記ブログサイト)を突き止め、元記事を封印。やれ一件落着かと思われたが、そうはいかなかった。
今現在もチェーンメールは納まっていない。それは文章の削除に応じない人たちがいるからだ。では、なぜそんな状況に陥ったのか? 考察はこちら。

なぜ、頑なに文章を掲載し続けるのでしょうか?
それは、「現地の声」を届けたい、との思いがあるようです。
チェーンメールだと知った上で、古い情報だと知った上で、敢て「現地の声=真実」、だからと掲載し、転載を推称し続けているのです。
『青い魚と暮らしたいんじゃぁ 』後方支援二十一日目(新潟県中越地震発生から二十三日目)

これは僕もチェーンメールを追いかけていたからわかるんだけど、皆、チェンメと知りながら削除しない。なぜならマスコミや政治家への怒りの方が強いからのようだ。チェーンメールにはこんな事例が挙げられてる。

 午前中にも、数名の政治家さんが小学校に来ましたが、トイレはどこかとたずねられ、仮設トイレを案内したところ、「わたしに仮設トイレを案内するつもりかね?」と、いわれたそうです。いったいこの国は、どうなっているんでしょう.... 。

これが本当なら、その日視察に来てた政治家を突き止めて追求すべき。でも、普通考えたらありえない。いくらなんでも、そんな悪い政治家は今どき『美味しんぼ』にしか出てこない。それに気付かない人たちがいまだにチェーンメールを掲載し続けている。
これに気が付いた上記ブログ『青い魚と暮らしたいんじゃぁ』のまみ夜さんは、小千谷の知り合いにこの件を聞き取り調査し「元記事が虚偽だったのではないか」と追求した。事実関係の確認を情報発信者の“カメハハ”さんに求めた。それが14日の話。しかし、15日になって“カメハハ”さんは『新潟震災ボランティア日記(以下略)』から撤退を表明。そして個人で運営していた楽天日記(http://plaza.rakuten.co.jp/kame88/)の方のコンテンツも削除した。その言い分はこう。

増え続けているチェーンメールへの対応作業など、本当にやるべきことに集中するため、カメハハ楽天日記も、本日のご報告のあと、しばらくお休みいたします。
『新潟震災ボランティア日記』このblogのこれから

まあ、ここで犯人探しをしたところでしょうがない。アメブロの賞金を寄付しないのを攻めるのも筋違い。ただ、(まみ夜さんの求めた)記事の内容の真偽については答えるべきだったと思う。
“まみ夜”さんのブログのコメント欄に目を移す。ここには元記事が事実だったという反論の書き込みがみてとれる(あ、一部削除されてしまった)。震災を考えることは大切だと思うけど、善意は一歩間違うと悪意よりも性質が悪いのかもしれない。「しない善より、する偽善」この言葉を最初に見たときから違和感を感じていたが、今その違和感が理解できた。コメント欄から辿った日記のフレーズを引用したい。

《一人の力は ほんの僅かでも、集まれば大きい輪になる。。》
http://plaza.rakuten.co.jp/momolove0120/

大きい迷惑につながる輪にもなりかねない。これが今回の教訓ってやつだ。
  
*このエントリは、こうさぎの「ろくろう」が書きました。

*1:id:gotanda6:20041101#chainmail

*2:なぜかアクセスできない。HP=http://www.sasayama.or.jp/