“私が考える○○”

gotanda62004-09-20

私が考える藤子・F・不二雄
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が公開された当時、アメリカの子供たちは“タイム・パラドクス”が理解できなかったという話を聞いたことがある。主人公のマーティーが30年前の世界に行き、自分の両親をくっつけないと自分の存在が消えてしまうという部分が、よくわからなかったらしい。
この話は人から聞いた話なので、ウソかホントかよくわからないのだけど、確かにアメリカの子供と日本の子供では、SF的な基礎知識に差があるのは当たり前だ。日本人の子供なら、誰だってタイム・パラドクスを難なく理解できたはず。だって日本の子供はみな藤子不二雄を通過しているんだから。
今月号の『ポピュラー・サイエンス』は大幅リニューアルされ、縦組みになり、内容もポップになっている。注目は第1特集の『今そこにある、藤子・F・不二雄の世界』。結論から言うと、これは永久保存版とまではいわないまでも、この特集はかなり出色の出来。藤子FのSFの部分を掘り下げた内容で、藤子作品に登場する“ロボット”、“科学者”、“未来の職業”、“クローン人間”、“異性人”などの紹介、実際の科学者らへのインタビュー*1。、今でもそのままに残されているという仕事机や本棚の写真などといった構成。
もっと科学技術史と藤子F作品の関連を突っ込んで欲しかったのだけど、『21エモン』が『2001年宇宙の旅』の公開年に連載開始し、大阪万博の年に『ドラえもん』の連載が始まっているなど年表マニアの僕からすると、それだけで十分興奮できる年表が巻頭に掲載されている。
鉄腕アトム』というのは、以前、ココに書いたように、原子力の平和利用という気運の時代に生まれ、原子力の危険性が問われる時代になり、手塚自体も科学に対する不信が大きくなっていくという経緯が作品中にあらわれている。そして、ベトナム戦争の頃にはさらに絶望が深まり、ついにアトムをメコン川に沈めてしまう(!)のだけど、手塚という作家はそれだけ時代の動きに敏感な人だった。それに比べると藤子Fは非常にフラットに普遍的なテーマで作品を作ってきたイメージの強い作家なんだけど、『ウメ星デンカ』にパレスチナ問題を重ねてみたり*2、『エスパー魔美』におけるニューエイジ・カルチャーの影響などを重ねてみることも可能かと思う。
あとあまり関係ないけど、『劇画オバQ』は実存主義のお話だと思います。



『ポピュラー・サイエンス』誌の感想を書こうと思ったら、藤子・F・不二雄センセについて大いに語ってしまったので、id:Dirk_Diggler氏の立ち上げた新しいはてなダイアリークラブ私が考える○○”に登録してしまおうかと思います。

逆リンク!
http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2004/09/post_41.html

*1:藤子・F・不二雄センセの娘のインタビューもあり。娘たちみんなで「いつかパパを宇宙に行かせてあげたい」と話していたといういい話あり

*2:『ウメ星〜』は故郷の星を失った宇宙人が地球人の家に居候する話