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攻殻SACを読み解くためのサブテキスト(戦前戦後事件史関連)


『インディヴィジュアル・プロジェクション』阿部和重
民間の小さなスパイ要請塾にのめり込む若者たちが、塾解散後に内ゲバをするという、山田風太郎の忍者もの的ストーリー。主人公の名前や、日付(日記形式で書かれている)などをよく見ると、血盟団事件、5・15事件など、戦前の“昭和維新”運動がモチーフになっていることがわかる。この小説をJ文学、常盤響というイコンに釣られて読むと面食らうと思う


 
『シンセミア』阿部和重
著者の出身地である山形県神町に起こったひと夏の事件。下山事件など戦後の事件をなぞらえたエピソードが用いられ、GHQを中心としたゆがんだ戦後社会をひきずった現代の田舎町の風景が描かれている。また、町全体にカメラが仕掛けられている構造などは、SACの視覚素子を思わせる



『昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫』

『仁義シリーズ』の脚本家・笠原の全作品について、本人が語っている。一冊を通し、戦前戦後史をいかに作品に投影したかが描かれている。昭和天皇への反感や二・二六事件秩父宮のクーデター説など、その時代を生きた人でならではの常識が随所に現れる



『化城の昭和史―二・二六事件への道と日蓮主義者(上下) 』寺内大吉
血盟団事件の首謀者、井上日召二・二六事件の筋書きを書いた北一輝満州国設立に尽力した石原莞爾、あと石原慎太郎もそうだけど、彼らの共通点は、日蓮主義者ということ。昭和史の裏側でいかに日蓮主義者が幅を利かせていたかという話。これは目からうろこでした


『日本の黒い霧(上)』 『日本の黒い霧(下)』
松本清張
下山事件をはじめ、GHQ占領下の日本の事件には、GHQ内の内部抗争(GSとG2)やレッドパージなどの背景が有り、その多くは隠匿されてきたという話。戦後事件史の定番本。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Official Log2』
戦後事件史と笑い男事件の詳細が書かれているブックレットがオススメ。っつーか僕が書いてます。