引越しストラットその2

 引越しでいろんなものを処分した話の続き。レコード編です。
“収集癖”というものは、人類が本能的に有するごく当たり前のものであります。例えば、博物館・美術館というものは、世界のすべてを箱庭として押し込み、所有しようという性質のものだし、そもそも美術というものは、世界をキャンパス(壁画なら壁)の中に収めてしまえという性質のものだ。
 世界のすべてを自分のしたいと思う“征服願望”は、なにも独裁者の特権ではないのだ。
 80年代に発売されたアイドルのシングル盤をすべて網羅しているという資料性の高い『アイドルPOPS80-90』という本が、ジャズ批評社から発売されている。ちなみにこの本によると、80年代には約2500枚のアイドルのシングルが発売されているという。 早い話が(全然早くないけど)僕にとっての征服願望は、80年代アイドルのシングル盤のコンプリートにあった。最近は冷めてきていたが、7〜8年はこの夢にとり憑かれてきたのだ。集めたコレクションの総数は約600枚強。全体の25%。コンプリートには程遠いが、まあそこそこのコレクションではある。
 今回の引越しを機会に、僕はこの夢を捨てることにした。処分処分♪ だが、世界征服の夢を頓挫する物語はいつも切ない。頭の中にビーチボーイズの『オール・サマー・ロング』が流れる(アメグラのエンディング)。
 実は僕の蒐集癖はこれだけじゃない。もうひとつのコレクションは今後も遅々とではあるが続行していく。それは、70年代のディスコシングルの邦盤のコレクション。こちらは暇を見つけてはこつこつアーカイブ化しているのだけど、ハイパーモダンな高度資本主義社会においては、世界征服の野望は水面下でそおっと進行させなくてならない。なので、リンクもそおっと貼っておく