『サムライチャンプルー』(脚本:小原信治、監督:渡辺信一郎 フジテレビ)

 原作は知らないけど、今日から始まった新番組。登場人物が金髪だったり、ピアスをしていたり、コンバースアディダスの紋の付いた着物を着たりしている時代物アニメ。
 オープニングで打ち首のシーン。刀が抜かれ、切りつけられるところで、1日前というタイトル。次のシーンは現代の横浜・桜木町の様子が映る。このシーンはギャグで、すぐ巻き戻されて打ち首の前日に戻る。ただ、舞台が過去(多分江戸時代)の桜木町であることの説明になっている。
 一日前。通りでは駕籠に乗った代官が町人をなじっている。素浪人がそこを通りかかり、代官の手下の3人の柳生のモノを切り捨てそこを立ち去る。この下りは、茶屋での騒動とカットバックで交互に進行する。茶屋では代官の息子が仲間と共に茶屋の娘に絡んでおり、そこに居合わせた琉球の流れ者が団子100個で娘を助け、彼らを片っ端から斬り殺している。
 そこへ先ほどの素浪人が偶然茶屋へと立ち寄る。琉球の流れ者は、そいつが代官の息子の仲間と勘違いし斬ろうとする。斬りあいになるが、茶屋には火が放たれてしまう。
 次のカットでは2人とも代官に捕まっている。茶屋の娘が彼らの捕まっている牢獄に忍び込み助けようとする。助ける条件は「ひまわりの匂いのする侍を探して欲しい」というもの。だが、追っ手におわれ助けることはできない。
 処刑場に連れてこられる素浪人と琉球者。彼らを救うために茶屋の娘は奔走する。とある店で職人から何かを手に入れるのだが、その何かはここでは明かされない。処刑場の屋根に登る茶屋の娘。
 オープニングで登場した打ち首シーン。危機一髪で切り返す琉球物。互いに一旦休戦し、その場を見守っていた代官の手下と切りあい。茶屋の娘が彼らを窮地から救うために用意したのは花火。それを爆発させ、うまく逃げる3人。
 省略が効いていて物語のテンポがいいので、普通に展開させれば1時間かかるドラマが30分に凝縮されている。
この脚本家の小原信治という人を調べる。
■小原 信治 1969年5月31日神奈川県生まれ
http://www.8251net.com/obara.html


19歳の時、テリー伊藤氏の主宰する放送作家集団ロコモーションに所属。
その後、フリーの放送作家として様々なバラエティ番組を手掛け、
22歳で秋元康氏、堤幸彦氏等の株式会社SOLD OUTに所属。
1994年 株式会社オフィスクレッシェンドの設立に参加。
 バラエティ、ラジオの仕事が多い。構成作家の方がメインなのかな。
 アニメの場合、リメイク版の『アストロボーイ 鉄腕アトム』のように、第1話には予算も手間もかけている場合が多いんだけど、次が続かない場合が多い。にしても、この第1話はよく出来過ぎ。来週からもちゃんと見よう。

*追加項目:なるべく放映後すぐにアップした方がアクセスが多いだろうと、大雑把に書いてしまったのでいくつかフォロー。ちなみに僕はシナリオ学生なので、脚本的な見地から大まかにすじを追っているだけです。
 テンポがいいというのは、映像のスクラッチの入ったシーン転換などの手法とかアニメにしてはよく動くアクションのことではなく、主に盛り上がる場面でシークエンスが切り替わっていくAパートのカットバックの部分のこと。あと、代官が何者かという説明がない(親子であるとか、その後どうなったとかいった部分)とか、茶屋騒動のあと、一切説明無しで焼け跡になっているカットにつながるところとか、なぜ町人がなじられていたかを一切説明していないなどの部分とか、これらのつながり方も含め新鮮な気がしました。決してスクラッチ転換など、目先の新しさだけを狙っているだけではないかなと。
 ネットをざっくり見て回ったら(2ちゃんねる以外)、「仕掛けはおもしろい」、もしくは「世界観はいい」という意見は見かけるものの、筋や展開はありきたりという人が多かったので反論してみました。まあ、そんなに偉そうなことを言えるほどたくさんのアニメを観ているわけではないけど。