『Deep Love アユの物語』鑑賞

ついに観てきました。はっきり言って、大神源太とか『ベストガイ』みたいなモノを期待している人がいたら、期待はずれです。もうちょっと高度なレベルにあるのかもしれません。

●一応あらすじ
渋谷で体を売る少女アユ。アユはある日、公園に捨てられていた子犬とパオと出会う。犬を見捨てることのできないアユは、いつも通りすがるおばあさんのうちに連れて行き、なぜかおばあさんと暮らすことになる。そんなある日、アユのクラスメートのレイナがレイプされる。それを知ったアユはレイナの代わりに復讐し、相手の太ももにボールペンを突き刺してしまう。混乱し、おばあさんに電話をかけるアユ。おばあさんは何も問わずに温かく迎えてくれる。
そんなおばあさんにアユは「体を売っている」と告白。おばあさんはそのまま固まり、死んでしまう(!!)。遺影に向かい、2度と援交はしないと固く誓うアユ。そこに中年男と少年が現われる。少年は赤ん坊の時に、おばあさんに公園で拾われ(!?)育てられていた子で、のちに父親が現われ引き取られていた。その後、公園で再会するアユと少年。少年は心臓病を患っており、海外で手術を受けなくてはならない。アユは、彼の手術代1000万をかせぐため、再び援交にはしる。そして、ヨシユキのために彼の父にまで体を許す。日に日に衰え、体に斑点ができるまで体を売るアユ。そして、ついに死んでしまう。死因はエイズ(少年の父が少年そう告げる)。3年後、少年は「アユによって生かされ」、墓参りをしている。レイプで妊娠していたレイナは子供にアユと名付け育てている。

――以上は、矛盾や本筋とつながらないエピソードをすべて省いたあらすじ。本当は、余計な話が満載です。男が首をつる話、アユがおばあさんの金を盗む話、おばあさんの戦争体験の話、竹中直人がホームレスになっている話など、すべて思いつきで入れただけで、筋とはなんのからみもありません。すべて投げっぱなし。おばあさんとの出会いのシーンで意味ありげに植えていた“花の種”。最後に花を開くんだろうなあと思って見ていても、開かない! 映画の文法をことごとく裏切ってくれます。ある意味リンチ的。それでいて、カメラの構図は凡庸というか通俗的。花びらを撒き散らしてのSEXシーンとか、アユが雨の中でしゃがみこむシーンとか、ショーウィンドウに映ったやつれた顔に驚くシーンとか・・・・・。
そもそもこの物語“主人公が本当の愛を知ることで、心を取り戻すお話”と喧伝されてるけど、それは大嘘。いじめられた友だちの仇討ちで相手を刺すは、ケガをした犬は助けるは、ボーイフレンドのために盗みまでして大金を貸すは、劇場版ドラえもんジャイアンくらい男気のあるイイ奴。もともと愛に気付くシーンなんてどこにもなく、最初から最後までイイ奴。主演の子も最後まで無表情の演技を貫きます。
理解できないのはアユの少年に対する思いが、家族愛(2人はおばあさんの子供的な存在)なのかと思いきや、気付くと途中でアユの一方的な恋愛感情になっているところ。
以前の日記でYoshi氏の小説『めいる』について書いたときにも言及したけど、Yoshi氏の野島伸司的な被害妄想傾向はところどころ垣間見られます。少年の親に黙って出かけた沖縄で、いきなり警察に捕まったりとかね。いくら捜索願が出されていたからって、行き先も知らないはずなのに。
えーと、ちなみに新宿TOAの最終19:00〜の回に行きました。400人くらい入る大きい劇場なんだけど、客の入りは30名程度。その多くが若いカップルで、呼び込み風のダークスーツ&メッシュ男&ピンクか白の腰丈のコートの女のコの組み合わせが多い。ガルフィージャージ夫婦(恋人?)系も発見した。
http://d.hatena.ne.jp/gotanda6/searchdiary?word=%2a%5bdeep%20love%5d