『俺は待ってるぜ』(脚本:石原慎太郎)

gotanda62004-03-29

港のそばの小さなレストランを営む島木(石原裕次郎)の元に、女(北原三枝)が転がり込んでくる。女は声をつぶしキャバレーの歌手に転落した元オペラ歌手。そのキャバレーで言い寄る男を瓶で殴り、逃げ出してきたのだ。一方、島木は人を殴り殺し、ライセンスを剥奪された元プロボクサー。1年前にブラジルへ渡った兄の呼び寄せてくれるのを待ちこがれている。実はその兄はブラジルへ渡る前に殺されていた。それを知った島木は、兄を殺した港を仕切るギャングの顔役(二谷英明)に勝負を挑み、右ストレートで殴り倒す(過去に人を殺したときは左手だった)。
港、キャバレー、ピストル、ギャング、人を殺した元ボクサー、生活感のない男と女・・・・と、日活無国籍アクション的アイテムが並ぶごくごくシンプルな作品。なにかが足りないなあと思ったら、クルマが出てこなかった。60分の脚本を90分に無理矢理引き伸ばした感が強いけど、“ここではないどこかを求める男”という主題は、この後の裕次郎映画に引き継がれていく。長い話を短く言えばそんなところです。