♪就職がきまって〜髪を切ってきたとき〜

途中から観たのだが、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で『13歳のハローワーク』(ASIN:4344004299)を取り上げていた。村上龍本人も登場し「バイトしながら演劇をやってきて、30になってみたら自分が何のスキルもネットワークも持っていないことに気付き愕然とする人が多い・・」、のだとかなんとか。人生を楽しむためのスキル=才能で、その才能を持ち得るのはごく一部だけ、というのが村上龍に教わったことだと思っていたけど、今では下賎の人々の心配までしてくれているようだ。
僕の場合、就職という言葉をはじめて突きつけられたのは、大学3年生の頃の最初の就職ガイダンス。そこでまず教わったのは、「自己分析をしましょう」ということ。自分の適職を見つけるために、自分と向き合い、その性格や能力を分析しなくてはならないらしい。自分と向き合うことを避けるために、人類はあらゆるコミュニケーションを生み出したり、文化を育んできたのにかかわらずだ。
そして、分析の結果自分の適職が見つかるのだという。ちなみに当てはめる選択肢には金融や流通や製造などが用意されている。3年間大学に通った結果が、“自分の適職は流通である”という事だったりするわけ。これを21,22で受け入れなくてはならないというのはちと辛い・・・。
次は企業研究で、資料を請求する。この際、エントリーシートが必要で、そこには志望動機を書く必要がある。志望動機は「御社の社風に共感し」などと書く。これは自己分析という踏絵をクリアできてないと無理。僕の友達はこの志望動機が書けなくて、自らの命を絶ってしまった。これホントの話。そういうものだ((c)ヴォネガット)。

id:tido
「無職」に代わって、就職問題にかかわる人たちの間で用いられている言葉に「無業」というのがある。定義は「高校や大学を卒業したあと、就職も進学もせずに『進路を決めかねている人』」ということらしい。文部科学省の「学校基本調査」によると、無業になる若者は1992年に8万5千人だったのが2001年には13万人に、2003年には13万3千人にまで増加したということだ。
結局僕の場合、卒業もママならず、バイトをしたりしながらなんとか出版関係にもぐりこんだのだが、基本的には無業の時代を通過してきている。将来への不安はもちろん大きく、それを埋めるために毎日毎日、膨大な本や映画を観てくらしていた。いまあれだけ勉強などできない。まあ今と変わらず、何の役にも立たない映画や本ばかり見ていたのではあるが。
僕等の頃は、3流大とはいえまだ皆就職という形で社会に出るのが大半だった。今20代前半の人たちと話をすると、全然状況は違うようだ。受け入れてくれる企業がないのも社会的には問題なのかもしれないが、自分の適職が金融だの製造だのと思い込まされて道を選んでいかなくてはならない社会よりいい気もする。
ちなみに、来週21日のNHK-BS『週刊ブックレビュー』には『Deep Love』のYoshi登場。本物のサイコパスが観たい人は必見!