江戸川乱歩賞受賞作『滅びのモノクローム』(金曜エンタテイメント、2月20日放映、脚本/遠藤彩見)
- 着想=★★
- 脚本=★★
- 演出★
- 総合=★★(星は最高で5つ)
・あらすじ
<<弱小広告制作会社に努める主人公(国仲涼子)は、政党のキャンペーンを担当することになった。彼女がCMの提案用に祖父が残した昔のフィルムを使用したが、映像を観た幹事長(平幹次郎)は、そのフィルムの引渡しを要求。そんな折、フィルムは何者かに強奪され、関連した記者が殺される。フィルムには戦時中のある出来事が記録され、当時特高警察だった祖父と幹事長がなんらかの関わりを持っていることがわかってくる>>
過去のフィルムが表沙汰になることで、事件へと展開していくというプロットは魅力的ではある。しかし、肝心のフィルムの中身とは、戦時中に在日外国人を虐殺していたという程度のもの。この謎が弱いから、国仲が幹事長を告発するラストも盛り上がらない。
ミステリにするのであれば、謎は最後の最後に明かされなければならないが、このドラマではそれが途中でばれてしまう。サスペンスにするのであれば、フィルムの正体はどうでもよく(マクガフィン*1となるから)、その奪い合いを引き立てなくてはいけない。そのどちらでもないのがこのドラマ。まあ、原作がそうなのだから仕方が無い部分も多い。
原作のストーリーは守りつつも、主人公を含めたキャラクターには脚色が加えられており、主人公と女社長、幹事長の孫との接触など前半部分は悪くないが、後半以降の展開は通常の2時間サスペンスの典型。エンディングの盛り上がらなさは通常の2時間サスペンス以下(やはり崖の方が盛り上がる)。