歌詞の「引用」は無断でやるのが当たり前

引用の件でid:ululunさんより返答があった。

尚、はてなブックマークコメントでid:gotanda6さんから『俺も尻馬に乗るけど、http://d.hatena.ne.jp/gotanda6/20051117/jasracで訪ねた正統な引用を「悪法も法」とうやむやにしている件にも答えて欲しいね。』というコメントを頂いているわけですが、gotanda6さんが「正当な引用」とお考えなのでしたらそれで良いのではないでしょうか。言ってみれば見解の相違、というもので、どちらかの考え方が一方敵意(ママ)に正しいというものでもないように思います。
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20060614/kunekuneforotsune

読んでいる人にはまったく何の話か理解できないだろうから説明。

発端は『牧歌組合〜耳コピとエロジャケ〜』というブログがJASRACから警告を受けた件。ここではJASRACは「楽曲の無断使用」だと言って警告し、当ブログの運営者は正当な引用だと主張(運営者は一部引用の領域を越えていると判断したものに関しては削除もしている)。

その騒動に触れたululunさんのエントリーがコチラ。

http://d.hatena.ne.jp/ululun/20051117/1132190179

このエントリーの本論である前半部の「耳コピ」うんぬんという話はまったくのナンセンスかと思いますがこの際関係はない。

しかし幾つかのエントリには歌詞も掲載されていて、これはJASRACのホームページにあるFAQ「ホームページに歌詞や楽譜を掲載したいのですがどうしたらいいか教えてください。」に抵触しているものと思われる。

しかし、何らかの形で音楽を公開したり掲載しようと思うのであるのなら、JASRACのホームページは一通り見る事が望ましいと思うし、わからない事があったらJASRACに問い合わせるのもホームページ運営者としての姿勢ではないだろうか。

という二箇所に反応した次第。

ululunさんの指摘は、著作権管理者の許可なしに楽譜や歌詞を「公開したり掲載」することはできず、それをする場合でも「JASRACに問い合わせる」のが筋だというもの。

上記の『牧歌組合〜』騒動で問題になった部分は“引用の範囲を巡るJASRACとブログ運営者のすれ違い”であるのだけど、その“引用”以前の問題。僕の指摘は、引用という概念が抜け落ちてやいませんか? ということ。でも、それに対する今回の返答が「言ってみれば見解の相違」、「どちらかの考え方が一方敵意(ママ)に正しいというものでもない」とのことでは、僕にはどういう見解があったのかすらわからない。半年前のエントリーで忘れているかもしれないが、もう一度確認してほしい。


おそらく上で引いたululunさんの意見は、当時JASRACがホームページで公開していたFAQの中身に引きずられているのだろうと思う。

質問
歌詞は部分的な掲載であれば引用にあたるのでしょうか

回答
部分的なご利用であってもその曲と特定できる形でのご掲載であれば、一般的には許諾が必要な利用となります。なお、著作権法上の「引用」に該当するかどうかは、これまでの判例に基づく要件などからケースごとの判断となります。論文、小説等著作物に、歌詞の一部分を使う必然性がある場合などは、直接お問い合わせください
グーグルのキャッシュ

確かにこれを読むと、まるで引用かどうかを判断する主体がJASRACであるかのような誤解を与えかねないが、JASRACにそんな権限は無い(当たり前だ)。ululunさんはこの文章を受けて上のように考えているのではないかと思うのだけどどうだろう。ちなみにJASRACは現在このFAQをサイトから消しているみたい。

JASRACの引用を巡る考え方がいかにコンニャクであるかについては、下のサイトで取り上げられている。

≫歌詞の引用


僕が半年も前のululunさんのエントリーに固執するのは、歌詞の引用についての誤解が主にJASRACによって広まっている節があるからだ。引用は万人に認められている権利であって、歌詞であっても引用を無断で行なうことになんら問題はない。この勘違いはブログの書き手に限らず、雑誌や書籍の編集の現場でもよくみられるもの。

歌詞の引用以前に、引用自体がよくわかっていない方はこちらをどうぞ。オウム真理教がこの世に残した残したもっとも優れた資産がここにはある。

「引用」は無断でやるのが当たり前(絵文禄ことのは)

以上、単著もないのに偉そうにかましてすみませんでした。

クリエーター・編集者のための引用ハンドブック (ユニ知的所有権ブックス)

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