トライポッドの正体

「シネフィルめ」といわれても『宇宙戦争』の話はおもしろいから続けます。メタファー云々というわけじゃなくって、誰であろうが何の影響も受けずにモノをつくることはできないっていうくらいの話。
H・G・ウェルズの考えた三本足の宇宙人の乗り物(映画ではトライポッド)の正体をbeach_harapekoさんが考察していて興味深いです。以下引用。

エッフェル塔である。
<中略>
この4本の足を持ち、どこか奇妙な生物性を備えた巨大な鉄の塔が、パリの上空から人々を睥睨するビジョンに触れたとき、もしこれが動き出して人々を蹂躙し始めたならどんなに恐ろしいかと作家が想像し、そこに近未来の兵器の進化形を見たとしてもあながち説得力のない話ではあるまい
≫『空腹海岸漂流物管理所』宇宙戦争と万博
http://d.hatena.ne.jp/beach_harapeko/20050708/

宇宙戦争 (創元SF文庫)
H・G・ウェルズが『宇宙戦争』を雑誌連載として発表したのが1897年。エッフェル塔ができたパリ万博が1889年。意識的か無意識かは別として、エッフェル塔=トライポッドというのはもっともな説。
一方、1953年に公開された映画版で宇宙人の乗り物がUFOに変わったことについても、時代背景との関係を言及していておもしろい。

ではなぜ、2005年版の『宇宙戦争』において、再び『3本足の巨塔』は召還されたのか。

シンス・イエスタデイ―1930年代・アメリカ (ちくま文庫)
については「つづく」だそうです。楽しみ。
もうひとつ「時代を反映する『宇宙人の脅威』 」というところでひとつ付け加えると、1938年のオーソン・ウェルズによる『宇宙戦争』のラジオドラマ*1のときのパニックも、ナチスドイツの台頭と戦争への不安が高まっていたという「時代背景」込みの話だというのもありますね。