宇宙戦争と“事故の博物館”

宇宙戦争』を観た。
映画はおもしろかったんだけど、なんとなくハリウッド映画を観た感じがしなかった。この違和感はなんだろう? 
まず『インデペンデンス・デイ』でUFOがホワイトハウスを破壊したり、ゴジラが東京タワーを破壊したりという、お決まりのシンボル破壊が行われなかった*1。もう一個は地球が危機から救われても個人の問題までは解決されないという、いわゆる「セカイ系的」なラストシーン。この二つが最大の違和感だったと思う。
9.11で世界貿易センターが破壊されたこと、そこで家族を失った人たちの問題がタリバン掃討やイラク戦争では解決されなかったことが影響しているかもしれない。9.11はハリウッド映画をなぞるように行われたと散々言われたけど、ハリウッド映画そのものが9.11によって変わってしまった。
まだまだ感じた違和感は残る。オギルビー(ティム・ロビンス)が戦う気満々だったのに宇宙人が血を吸う事を知ったとたん急におびえるというくだりはなんだろ? エホバか? それとも血液に関する禁忌、恐怖みたいなのがキリスト教とかにはあるのか? そういやRHマイナスの人の献血を募るシーンもあったし、教会が真っ先に地割れで壊れてたなあ。
最期にもうひとつ。宇宙人に襲われる映画だってのに、交通事故オンパレードだった。まず火ダルマ電車、そして朝起きたら飛行機が墜落していて家の周囲が飛行機の残骸だらけ。インデペンデンス・デイ [DVD]そして車の衝突に船の沈没。ポール・ヴィリリオが提唱する“事故の博物館”*2の映画版かと思った。ちなみに一番高揚したシーンは宇宙人ではなく、電車と飛行機(墜落後の光景)のシーンだった。

もうひとつ、元ネタと言うか、宇宙人の正体についてはこちら
トライポッドの正体

本日はアメリカの建国記念日インデペンデンス・デイです。宇宙戦争見たつながりで借りてきて見ようかな。
7月4日に生まれて スペシャル・エディション [DVD]ちなみに、昨日はトム・クルーズの誕生日。そしてクルーズは『7月4日に生まれて』というベトナム帰還兵の映画に出演しています。
 
あ、上の感想はこの辺を参考にしたりしています。
http://blog.livedoor.jp/insighter/archives/27044969.html
http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20050703#p2

*1:お決まりといえば気の利いた大統領や頭でっかちの軍の指令も出てこない

*2:ネット上の事故の博物館=http://www.onoci.net/virilio/pages_uk/accidents/liste.php?id=4&th=1&rub=1_3