鏡リュウジさんとの対談

朝日カルチャー新宿にて鏡リュウジさんと対談を行います。
鏡リュウジさんがたまたま僕の本を手にとって読んでくださったとのことで、声を掛けていただいた企画です。
主なテーマは「自分探し」「運命」。スピリチュアルにはまる女性と、自己啓発書とか高橋歩的なものにはまる男性という構図における、男女の違いや共通点についてという感じになると思います。
僕は、高校時代に1960年代のロックとかサイケとかヒッピー文化にはまっていて、当時の彼らはその後どこにいったんだろうという純粋な疑問から、「ニューエイジ」というものを知りました。そして、その後、マンチェスタームーブメントなどを経由して、レイヴ、アシッドハウスやテクノといった同時代の流行の中で、周囲にいる人間がゴアトランスとかトライバルファッションやらにはまっていくのを見て、猛烈に嫌気がさし、エコやらヒッピーやらロハスやら自然食やら60年代が嫌いになっていった口(笑)。
そんな感じで僕はニューエイジを1960年代のアメリカで生まれたカウンターカルチャーから生まれたものとして捉えていたんですが、一度鏡さんにお会いしたときにニューエイジのさらなる源流についての興味深い話を伺いました。そんな話もまたあらためて聞こうかと思ってます。
その他にも、自己啓発書とケータイ小説の類似であったり、ヤンキーとアニミズムの親和性の話とかそんな感じにも広げられるでしょうか。

最近の若者は人生の意味を考えなくなったといわれることもあるようですが本当にそうでしょうか。浜崎あゆみの歌詞への共感、自分探しの放浪の旅、有機農法のコミューンなどなど、さまざまなかたちで既存の人生コースとは異なる生き方を模索する若者は増えているように思います。
やりがいのある仕事や自分の人生の輝きへの憧れは実はとても大きく、それが獲得できないと感じられたときにこそ幻滅も大きいのではないでしょうか。僕は、人生の充実、感動への渇望と自意識、スピリチュアルブーム、そして一見その反対の現象にみえる自閉的な生き方に同じことがひそんでいるのではないかと思い始めました。速水さんの著書「自分探しが止まらない」はそんなぼくの問題意識とぴったりシンクロしているものでもありました。
今回は速水さんをお迎えして、「自分探し」ブームについていろいろ考えていきたいと思います。また、今のスピリチュアルブームとジェンダーの問題なども一緒に考えられると幸いです。             (鏡リュウジ氏 記)

自分探しが止まらない (SB新書)

自分探しが止まらない (SB新書)