最近の読書のメモ

■『戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ』マイク・モラスキー
戦後日本のジャズ文化―映画・文学・アングラ

僕はジャズ自体に関してはほぼ門外漢なのだけど、日本でジャズの受容のされ方と戦後文化の関連という視点は十分おもしろかった。
僕の歌謡曲史観にはコモエスタ八重樫の黄金のニューリズムが根底に有る。マンボもスイムもブガルー、シャンソンカンツォーネもブガルーもチャールストンもブギウギもツイストも並列に海外のニューリズムであって、ロックンロールだって特別なものではなくそのなかのひとつに過ぎないというもの。そういう視点にプラスして、戦後のアメリカの大衆音楽全般の名称としてのジャズの輸入という視点が加わったという感じ。
 
勝つためのインターネットPR術
仕事の関連もあってPRというものを少し勉強するために読んだのがこの2冊。
■『インタネットPR』堀江貴文、神原弥奈子
■『戦争広告代理店』高木徹


下は“広告代理店”というタイトルだけど国際政治専門のPR会社の話。決して陰謀めいたものではなく、ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)政府を動かすためには世論を味方につける必要があり、その為にマスコミへの働きが欠かせないという話で、PRでは嘘をつかないことがなによりも大事という話。あとで大事になるから。ふむ。
この2冊、ちょっと毛色は違うけどPRの入門書的でわかりやすかった。次はもうちょっと踏み込んだ広告2.0、広報2.0的なものも読んでみたい。

 
■『バルタン星人はなぜ美しいか―新形態学的怪獣論―』小林晋一郎
バルタン星人はなぜ美しいか―新形態学的怪獣論―
ウルトラマンなどに出てくる怪獣のデザインを徹底的に追及した本。
怪獣とは完全に空想の産物なので、現世の生物、絶滅した生物、昔の人が考えた幻想生物、美術からの引用などがごちゃごちゃに配合されてできている。妖怪研究が即文化人類学になるような感じで怪獣研究もおもしろい。

 
亡国のイージス 上 (講談社文庫)
■『亡国のイージス福井晴敏
これは遅まきながらバカンス中に読んだ。ガンダムの影がたくさん有っておもしろかった。
如月と北朝鮮の女スパイが海中で戦いながら目と目で通じ合うシーンはアムロララァの関係の引用。祖国再建をめざす工作員ヨンファには若干だけどシャアのイメージ。おしゃべりではないが。
亡国のイージス 下(講談社文庫)
最後、先任伍長*1にこれまで死んでいったものたちの想いが乗り移るのはZガンダムのラスト。
映画もおもしろかったけど、ガンダムの影はなかった。

 
 
■『その音楽の<作者>とは誰か リミックス・産業・著作権増田聡
その音楽の<作者>とは誰か リミックス・産業・著作権
僕のうちがみすず書房まで徒歩5分だったことから成り行きで索引作成で少しだけお手伝いした本。クラブミュージック小史は新しいことがかかれているわけではないけど、簡潔で読み物として面白く、かつ資料性も高くてよかった。
その他、システマチックなCMとのタイアップが80年代後半の三貴(カメリヤやジュエリーマキの会社)とビーイングから始まっているという指摘が興味深かった。ここらへんのタイアップの歴史はアカデミズムだけでなくマーケティングの事例として取り上げるようなアプローチがあったらいいのに。
関連→http://d.hatena.ne.jp/gotanda6/20050529/maki
新刊がないなあ。

*1:細かいチェックをいただく。http://d.hatena.ne.jp/kurimax/20050916/1126835757